きり丸の技術日記

技術検証したり、資格等をここに残していきます。

Java + Flywayで誤って適用してしまったバージョンを未適用の状態にする

以前、Flywayで参照制約を追加したが、既存のデータが既に参照制約違反だったため、四苦八苦した話を書きました。

※以前の記事。 nainaistar.hatenablog.com

その後、色々知った後に検証をしていると、いろいろと勘違いしていることが分かったので、忘れないようにするためのメモ。タイトル自体は前回知りたかったことです。Flywayの公式のどこに書いてたんだろうか…。

なお、バックアップから復旧するよりはマシ、という内容なので、基本的には非推奨です。

誤って適用したバージョンをリセットする方法

バージョン管理テーブルとして、flyway_schema_historyテーブルが作成されています。その中に、今まで適用したバージョンがレコードとして登録されています。

完全にリセットしたい場合は、drop table flyway_schema_historyでリセットできます。installed_rankがインクリメントされていくので、リセットしたいバージョン以降のレコードを削除し、マイグレーションを行えば再適用できます。

ただし、この操作はFlywayでのステータスを適用から未適用に戻すだけです。Flywayで適用した結果は残るので、手動でDROP TABLEALTER TABLE等で状態を戻す必要があります。

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flyway_schema_tableの構成


下記は検証した時の例。

  1. R__create_table.sqlを作成
  2. bootRunsqlを適用
  3. R__create_table.sqlにコメントを追加、 V1__arien.sqlを作成
  4. bootRunsqlを適用
installed_rank version description type script checksum installed_by installed_on execution_time success
1 NULL create table SQL R__create_table.sql 688335130 user 2020-10-18 13:13:12.540324 36 true
2 1 arien SQL V1__arien.sql 1672929557 user 2020-10-20 02:52:33.368014 57 true
3 NULL create table SQL R__create_table.sql 695332486 user 2020-10-20 02:52:33.568768 51 true

その他自分の認識誤りだった点

Rファイルの扱い

Rファイルは起動するたびに実行される認識でした。そうではなく、checksumが同じ場合は変更が無いとみなし、1度しか実行されません。コメントやformatする等でファイルのchecksumが変更された時に再適用します。

なので、今後のプロジェクトでは下記のように管理しようと考えています。

  • 本番環境リリース前

  • 本番環境リリース後

    • Rファイル
      • 使用しない(DEL-INSはファントムリード等のタイミングが怖い)
    • Vファイル

成功しないとレコードとして登録されない

以前はバージョン管理テーブルのflyway_schema_tableの存在を知りませんでした。なので、参照制約を追加したバージョンファイルが失敗するとレコードに履歴が書き込まれ、DBのスキーマ削除する必要があると考えていました。

しかし、検証した結果、どうやらFlywayでのマイグレーションに失敗した場合、そもそもレコードの登録が行われないようです。

つまり、flyway_schema_tableのレコードを修正することなく、ファイルを修正すれば問題ありません。

問題になるとしたら複数の環境に適用した後、特定の環境のみマイグレーションに失敗した時です。

冒頭に貼った記事は「review環境 → IT環境 → ST環境(ここで失敗)」という複数環境への適用後に失敗したので、flyway_schema_tableのレコードを削除して再適用する必要があります。

終わりに

公式サイトは一応flyway_schema_tableのことは書いてあるものの、基本的にはコマンドしか書いておらず、自分で構築するまで気づけませんでした。しかも、gitbook等のように公式サイトを検索できないので、明示的にテーブルとして存在していることを見つけられなかったです。

基本的には一度でもFlywayの履歴を操作してしまうと、現在の状態を疑ってしまうので行いたくはないのですが、最終手段としてブログに残しておきます。


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参考資料

Flyway公式サイト flywaydb.org

Flyway公式サイト:修復する方法 flywaydb.org

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flyway