きり丸の技術日記

技術検証したり、資格等をここに残していきます。

『ここはウォーターフォール市、アジャイル町』の読書感想

翔泳社翔泳社ブックアンバサダーを100名募集というサイトにて、翔泳社の本の感想をSNSを通じて発信するアンバサダーを募集していました。応募したところ、私が奇跡的に選ばれました!

いくつかの推薦タイトルの中から、もっとも面白そうな『ここはウォーターフォール市、アジャイル町』を選んで読ませていただきました。

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感想ハッシュタグ

#ここアジャ

SNS時代だからでしょうか、本の感想を上のハッシュタグで呟いてほしいと公式から発表されるのはわかりやすくていいですね。この本に関してはブックアンバサダーを募集しなくても良かったのでは、と思うくらい他の感想がすでにありました。

平鍋 健児さんと著者の沢渡 あまねさんと新井 剛さんの対談動画もこちらのハッシュタグから見つけました。

あなたの職場は半径5mから変わる!「ウォーターフォール市、アジャイル町」インタビューagile-douga.tv

読書時間

2時間程度。

アジャイルラクティスに関してはすでに理解しているので、私はサクっと読めました。

難しい内容を語っているわけではないので、一般的には3時間くらいで読めるのではないでしょうか。

著者

読んだうえでの本の想定ターゲット

  • 思考停止した組織に所属している人
  • その中でもなんとかカイゼンしていきたい人
    • 年次は問いませんが、何をやれば全く分からない人向けなので対象年齢は若めだと思いました

アジャイルの基本を学ぶことはできますが、メインターゲットではない気がしました。

読もうと思った理由

  1. 発売後にTwitterでよい反応を多く見かけた
  2. 他にも沢渡さんの別の本を持っている
  3. カイゼンジャーニーを持っている
  4. アジャイルを再勉強したかった

私はSIerウォーターフォールを経験後、現職にアジャイルをやるために転職しました。しかし、会社の仕事がアジャイルに向いておらず、ウォーターフォールに開発手法が戻ってしまいました。こんな感じの部署もあったんですが、今は無くなってしまいました。

『ここはウォーターフォール市、アジャイル町』というタイトルから、ウォーターフォールでも忘れてはならないアジャイルマインドを勉強できると思い、読むことにしました。

あらすじ

翔泳社から引用。


3月のある月曜日。大手精密機器メーカー、ハマナ・プレシジョン株式会社に勤める相良真希乃は、マーケティング部門から情報システム部門への異動を通達される。着任早々目にしたのは、見切り発車で問題だらけのシステム、地獄絵図のヘルプデスク、開発チームと運用チームの格差、融通の利かない上司、忙殺されイラ立つスタッフたち……。真希乃はなんとかしなければと思うものの、周囲は変化することに拒否反応を示す。そんなとき、ある勉強会でアジャイルと出合い、ウォーターフォールと共存できることを知る。「無力感」に包まれた現場を変える真希乃の挑戦が始まった。

感想

内容について


運用チームに異動した主人公が、クレームだらけの現状を打破するためにカイゼンを進めていく小説形式の話です。プロジェクトが木こりのジレンマで硬直してしまうことが多いので非常に共感できます。

感情起因での行動が多いので、私は開発チームですが共感できる場面が非常に多いです。

「小さくやる」「導入しても辞めてもいい」等々の行動を後押する言葉が多いです。また、「『わざわざ』を『ついでに』に変えるのが業務改善のポイント」等のいかに思考停止状態から行動誘発する仕組みにするかも記載されています。

いかに個人の活動からチームへの活動、組織への納得方法、チームを跨いだクロスファンクションチームの活動等に拡大させていくかということも書かれているので、参考になります。

各章について


主人公たちに寄り添った精神や行動「無力感」「さらなるセイチョウ」等が各章のタイトルにになっています。最低限、各章だけ読んでも時系列が分かりやすく小説として読みやすいです。更に各章にKeywords設定されているので、読む前に内容を察することがきますし、後で読み直すときにも振り返りやすいです。

ウォーターフォールの否定をしていない


ウォーターフォールの否定をしていないのはいい点です。ウォーターフォールにもメリットがあるとわかるだけで、勇気を貰えるでしょう。

アジャイルをメインに推進しているとウォーターフォール型の別組織から「アジャイルだか何だか知らないけど意味あるの?それ。」と拒絶反応をされます。されました。

また、アジャイルを導入しても論理的にメリットを説明できなければ、最終的には現状維持と変わりません。それよりは、この本のように感情から現場をカイゼンしていった方が上手くいきそうです。

この本で学べないこと

という点から、アジャイルスクラムで大事な「未来予測」と「過去分析」のうち、「未来予測」については学べません。

開発チームであれば、今週の開発タスク分解や来週以降の開発タスクの優先度付け等があります。作れば将来必ず売れるものなどわかりませんから、仮説を立てて価値を検証していく必要があります。※仮説検証は運用チームでも必要です。

私が開発チームですので、運用チームのことは分かりませんが、運用は開発に比べると不確実性のある未来に対してアクションをすることは少ないと思います。

また、逆にいうと「過去分析」だけでも300ページ弱の本にもなっています。「過去分析」だけでもこれだけのエッセンスがあるので、運用チームを題材にしたことは非常に良かったと思います。

私の追加情報

ホワイトボードの注意


どれくらいの大きさのホワイトボードを用意するかに寄りますが、置き場所によっては消防法に引っかかってしまいます。私の現場ではチームに1つホワイトボードを用意してもらって、カンバンを作成していました。しかし、通路に置いていたので避難通路を確保できず、消防法にひっかかるからと撤去されてしまいました。

最初からホワイトボードを用意されているような会社であればいいですが、後からホワイトボードを設置する場合は注意してください。

島の使い方


執務室エリアの島の使い方についてです。どちらがいい、というのは無いので参考程度にしてください。

以前の私のチームでは、1つの島を1つのチームで使っていました。ただ、実際に1つの島でチーム作業してみると、効率が悪い点が目立ちました。

  1. 対面席でもモニターで顔が見えないので声をかけづらい
  2. ペアワークをする際に、島をぐるっと回る必要があるので移動が面倒

なので、通路を挟んで1つのチームとして使っていました。ペアワーク、モブワークするのに集まりやすく、効率は良かったです。

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Backlogはいいぞ


この本に挙がっていたタスク管理ツールのBacklogは私も愛用しています。

わたしのBacklogの紹介記事はこちら

第4章の解説ページにて、タスクからフェーズを追加したほうがよい、と記載されています。しかし、親子関係のタスク作成はBacklogだと有料版の機能となっています。便利ですが無料版では使えないので、注意しましょう。

ちなみに、JiraやRedmineからの移行ツールもあるので、第4章変化の冒頭にあった各チームでバラバラに管理していた運用ツールの統合は比較的やりやすいです。

終わりに

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本のリンク

翔泳社リンク www.shoeisha.co.jp

Amazonリンク

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参考記事

翔泳社ブックアンバサダーを100名募集 www.shoeisha.co.jp

翔泳社ブックアンバサダー

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