きり丸の技術日記

技術検証したり、資格等をここに残していきます。

Pythonのエラーチェイン(例外を元に例外を投げる)には3種類あるがあまり気にしなくていい

Pythonでフレームワークから発生した例外を元に、適切に自作した例外に変換する方法に複数あることを知ったので、それを素振りしました。

なお、結果だけ先にお伝えするとraiseするだけでも9割問題ありません。

環境

  • Python
    • 3.11.6

確認方法

Pythonでは単純にエラーをraiseするだけでなく、from efrom Noneという構文を付けてraiseすることもできます。

try:
    try:
        1 / 0
    except ZeroDivisionError as e:
        raise ValueError("ERROR") # 1つ目
        raise ValueError("ERROR") from e # 2つ目
        raise ValueError("ERROR") from None # 3つ目
except Exception as e:
    print(traceback.format_exc())

具体的にtraceback.formt_exc()で得られるstacktraceは次のとおりです。

# 1つ目のraise
tests/unit/test_raise_error.py Traceback (most recent call last):
  File "/tests/unit/test_raise_error.py", line 9, in test_01
    1 / 0
    ~~^~~
ZeroDivisionError: division by zero

During handling of the above exception, another exception occurred:

Traceback (most recent call last):
  File "/tests/unit/test_raise_error.py", line 11, in test_01
    raise ValueError("ERROR")
ValueError: ERROR
# 2つ目のraise
Traceback (most recent call last):
  File "/tests/unit/test_raise_error.py", line 9, in test_01
    1 / 0
    ~~^~~
ZeroDivisionError: division by zero

The above exception was the direct cause of the following exception:

Traceback (most recent call last):
  File "/tests/unit/test_raise_error.py", line 11, in test_01
    raise ValueError("ERROR") from e
ValueError: ERROR
# 3つ目のraise
Traceback (most recent call last):
  File "/tests/unit/test_raise_error.py", line 11, in test_01
    raise ValueError("ERROR") from None
ValueError: ERROR

差分としては次のとおりです。

  1. 1つ目のやり方
  2. エラーメッセージにDuring handling of the above exception, another exception occurrが出力される
    1. 例外処理中に例外が発生しました
  3. 2つ目のやり方
  4. エラーメッセージにThe above exception was the direct cause of the following exceptionが出力される
    1. 上記の例外が直接の原因で次の例外が発生しました
  5. 3つ目のやり方
  6. 元の例外を握りつぶす

結論

正確に例外を表現するならraise Error from eを使用してください。

ライブラリやフレームワークを作成したり、テスト用の便利なモジュールを作っているときに、例外を伝播させたくないときにはraise Error from Noneを使用してください。

Pythonとしては、例外は意図的に握りつぶさないので単純にraiseするだけでも9割のケースで問題ないでしょう。

ソースコード

終わりに

個人的に、raise from eにはもう少し情報が増えることを期待していました。もちろん、正確に表現するならraise from eがあったほうが良いです。しかし、stacktraceを読もうとしているときは不具合の原因をいち早く確認したいので、まずは発生箇所を特定することを最優先してしまい、結果としてDuring handling of the above exception, another exception occurrというメッセージは今まで目に入ってこなかったです。

まぁ、知識として知ったうえで単純にraiseすることは今後無くなるでしょうが、かといって無理やり既存のコードにraise from eを付与するほどではないので、結論としてはあまり気にしなくていいです。